代替休暇制度

1.代替休暇制度とは

代替休暇制度とは特に長い時間外労働を抑制することを目的として、1か月について60時間を超える時間外労働について、法定割増賃金率が引き上げられますが、労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを目的として、1か月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引き上げ分の割増賃金の支払に代えて、通常の賃金を支払う有給の休暇を与えることができることとした制度です。

代替休暇制度が設けられていても、代替休暇を取得するかどうかは法律上、労働者の意思に委ねられているため、割増賃金を支払いたくないとの理由から、労働者に代替休暇の取得を強制することはできません。

また、代替休暇制度は、「法定割増賃金率引き上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができる」制度であるため、代替休暇を取得した場合であっても、通常の時間外労働に対して支払われる25%以上の割増率による割増賃金の支払は必要となります。

そして、代替休暇制度を設ける場合には、労働基準法第89条第1号に定める「休暇」に関するものなので、就業規則にもその内容を規定する必要があります。

 

2.労使協定で定めるべき事項

①代替休暇の時間数の具体的な算定方法

代替休暇の時間数=(1か月の時間外労働時間数-60)×換算率

換算率=代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率

-代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率

例)時間外労働の割増賃金率が25%、1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%であり、「代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率」が25%、「代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率」が50%とした場合に、1か月92時間時間外労働をした場合

換算率=50%-25%=25%

代替休暇の時間数=(92-60)×25%=8時間

※8時間の代替休暇を取得した場合は、8時間を換算率で除した32時間について、引き上げ分の割増賃金の支払が不要となります。

 

②代替休暇の単位

まとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から、1日、半日、1日または半日のいずれかによって与えることとされています。

労使協定で、端数として出てきた時間数に、他の有給休暇を合わせて取得することを認めていた場合は、代替休暇と他の有給休暇を合わせて半日または1日の単位として与えることができます。

例)1日の所定労働時間が8時間で、代替休暇の時間数が10時間ある場合

A:1日(8時間)の代替休暇を取得し、端数(2時間)は割増賃金で支払う方法

B:1日(8時間)の代替休暇と、2時間の代替休暇に2時間の他の有給休暇を合わせて半日の休暇を取得する方法

C:1日(8時間)の代替休暇と、2時間の代替休暇に6時間の他の有給休暇を合わせて1日の休暇を取得する方法

※端数の代替休暇と他の有給休暇を合わせて取得した場合も、割増賃金の支払を要しない時間の計算においては、代替休暇の時間数を上回って休暇とした部分は算定せず、代替休暇の時間数のみで計算することになります。

 

③代替休暇を与えることができる期間

代替休暇は、特に長い時間外労働を行った労働者の休息の機会の確保が目的であるため、近接した期間内に与えられる必要があり、時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内の期間で与える必要があります。

例)4月に6時間分、5月に2時間分の代替休暇に相当する時間外労働を行った場合

※1日の所定労働時間:8時間、代替休暇の取得期間:2か月

4月の時間外労働に対応する6時間分 5~6月に取得可能

5月の時間外労働に対応する2時間分 6~7月に取得可能

この場合、6月には6時間+2時間=8時間として、1日の代替休暇を取得することができます。

 

④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

代替休暇の取得日の決定方法と割増賃金の支払日については、法令上は労使協定で定めておく必要はありませんが、賃金の支払額を早期に確定させ、トラブルを防止する観点から、労使協定で定めておくことが望ましいです。

 

3.まとめ

代替休暇制度まとめ割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えられる制度であるため、会社にとっては残業代を抑えることができ、労働者にとっては残業代の代わりに休暇を得られるため、双方にメリットのある制度といえます。

しかし、代替休暇の取得はあくまでも労働者の意思に委ねられているため、会社が残業代を支払いたくないという理由で導入するのではなく、労働者に休暇を取りやすくし、職場環境をより良くするためという意識をもって導入するのが良いのではないでしょうか。

 

詳細については、厚生労働省ホームページ、リーフレットをご確認ください。

“労働基準法が改正されました”.厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roukikaitei/index.html

 

“改正労働基準法のあらまし7~14ページ”.厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-02.pdf

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