1.全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律について

健康保険法 「全世代型社会保障改革の方針について」(令和2年12月15日閣議決定)等を踏まて、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律が令和3年6月11日に公布されました。

2.改正の概要

(1)後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し
(施行日:令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間において政令で定める日)

 後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並所得者(年収約370万円~)以外の被保険者についての、窓口負担割合は1割でしたが、政令で定める一定所得以上(※)であるものについては、窓口負担割合が2割となります。
※単身世帯の場合は、課税所得が28万円以上かつ年収200万以上、複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上

(2)傷病手当金の支給期間の通算化(施行日:令和4年1月1日)

 健康保険における傷病手当金の支給期間については、同一の疾病・負傷に関して、支給を始めた日から起算して1年6ヶ月を超えない期間とされていて、その間に被保険者が一時的に労務可能となって、傷病手当金が支給されなかった期間についても1年6ヶ月に含まれていましたが、入退院を繰り返す場合等において治療と仕事を両立する観点から、より柔軟な所得保障を行うために、傷病手当金の支給期間を通算して1年6ヶ月まで支給が受けられるようになります。

(3)任意継続被保険者制度の見直し(施行日:令和4年1月1日)
①被保険者からの申請による資格喪失

 被保険者の生活実態に応じた加入期間の短縮化を支援する観点から、被保険者から申し出た場合には、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したときに資格喪失することとなります。

②保険料の算定基礎の見直し

 健康保険組合の実情に応じた柔軟な制度設計を可能とするため、保険者が健康保険組合である場合には、保険料の算定基礎を「当該退職者の従前の標準報酬月額又は当該保険者の全被保険者の平均標準報酬月額のうち、いずれか低い額」から「健康保険組合の規約により、従前の標準報酬月額」とすることもできるようになります。

(4)育児休業中の保険料の免除要件の見直し(施行日:令和4年10月1日)

 育児休業中の保険料の免除については、育児休業を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの期間が対象となっていたため、開始日と終了日が同一の月にある場合には免除を受けることができませんでしたが、短期の育児休業の取得に対応して、開始日と終了日が同一の月である場合にも、14日以上ある場合には当該月の保険料が免除となります。
 また、賞与保険料の免除を目的として育休の取得が賞与月に偏る可能性があることへの対応として、連続して1ヶ月を超える育休取得者に限って、賞与保険料が免除されます。

3.改正による影響

男性の育児休業 傷病手当金の支給期間の通算については、施行日の前日である令和3年12月31日において支給を始めた日から起算して1年6ヶ月を経過していない傷病手当金について適用されることになります。
 既に支給が始まっている方も支給期間の通算の対象となることがあるため注意が必要です。
 育児休業の分割取得や出生時育児休業(男性版産休)といった男性の休業を推進するための枠組みが創設されることから、短期間の休業について、月をまたいだ場合とそうでない場合の公平性の是正、育休取得促進の観点から、月途中の2週間以上の育休についても保険料が免除されることになります。
 従業員が短期間の育休を希望した場合において、保険料免除の対象となるかどうか確認が必要となります。